唐松岳から白馬岳縦走 2007/09/21-24 |
序章 今年のはじめに夏に2泊から3泊の単独縦走をする、日本食を中心とした新しいメニューを開発(?)すると決意して以来、待ちに待った8月9月。若狭から戻ってきて天気を見るとどうやら週末は晴れそうだ。もうコレがラストチャンス。いくしかねーべ?(^^)休暇をここぞとばかりに使って連休前の金曜日に休みを事前にもらい、火曜日、水曜日の2日間は会社が終わってから新しいデジカメの購入、食料調達、パッキングに明け暮れた。当初は車での移動を考えたが、最近夜運転すると眠くなるので嫁さんから「電車で行ったら?」との提案をすんなり受け入れて路線復旧し再開した急行きたぐにの寝台列車を予約しようと大阪駅へ。寝台なんて泊まったことないし、どんなのかな?あれこれ聞いてみたが対応してくれた受け付けの女性(川相さん)はイヤそうな顔もせずにあれこれ教えてくれた。寝てる時間はそれほど長くないのでB寝台を予約。さあ、チケット買っちまったらもうもどれねー。(笑)このドキドキワクワク感は車でのアプローチではしばらく味わっていなかったな・・・。 9月20日 会社をさっさと終えて帰宅。娘からは「猪が出たときと、道がふたつに分かれていたら、戻ってきてね」と忠告を受ける。(笑)なんや、ママが二人もおるみたいやの〜と出発前に爆笑。食事、入浴を済ませてから大阪駅へ。ちょっと早く着きすぎた。ホームはサラリーマンだらけ。誰かに会ったらいややなあ。3段式のB寝台はこんなかんじ。サラリーマンが多かったのは意外。寝るには十分だが布団が小さいのとちょっと寒いのにはまいった。昭和を感じさせる車両の造りに鉄ちゃんでもないのに写真を撮りまくり。では、お休みなさーい。あ、靴にウエットプルーフ塗るのと、ガムテープを持参するの忘れた!ま、えっか。 9月21日 3時半ごろ目が覚める。携帯電話の目覚ましをセットしていたが、やはり興奮気味?駅での停車時間が短いので糸魚川でちゃんと降りられるかなーと10分前に靴紐を結んでいたら車掌さんがきちんと下車する人たちに声をかけていた。お〜そういう仕組みだったのか。 白馬駅で下車。改札をくぐったとたん、目に飛び込んできたのは白馬三山。そして五竜、鹿島槍ヶ岳。ああ、猿倉から大雪渓を登ればこの景色はおがめない。やっぱりもともとのコースに変更!観光案内所でバスの時刻表をもらい、念のため蓮華温泉から平岩までの時刻表ももらっておいた。(これがあとで役にたった)8時8分のバスで八方の駐車場まで移動し、歩いてゴンドラ乗り場へ。途中の湧き水を2リットルポリタンクに入れてさあ出発。 ゴンドラ、リフトを乗り継いで上まで上がっていく。雲ひとつない青空。こんなことあっていいんでしょうか(笑)以前実家に帰省したときに両親たちと見たテレビ番組で紹介されていた五竜岳が目の前にある。おもわず、リフトにのりながら「よっしゃ!」とガッツポーズ。 11時10分。丸山手前でビスケットと甘納豆をすこし食べる。甘納豆といえば加藤文太郎。今回の食はそう、「和」がテーマなのだ。いつもはカレー、シチューばかりなので今回はちょいとばかりメシもレーションも「和」を取り入れてみた。しかし、食べなれていないものはつらい・・・(T_T)甘納豆は当たり前だが甘すぎるで、これ。 丸山を越えればもうひとがんばりで唐松岳山荘だ。唐松岳は記録を見ると10年前の97年の4月に山スキーで来ているがまったくこのあたりの印象がない。ただただ、しんどかっただけの記憶しかない。もうすこし先かなと思って前を見ると唐松山荘が。あれ、こんなにでかかったか? 八方尾根の道を振り返る。楽に見えて意外とアップダウンがあるのと、今日のこの暑さには参った。まあ、復活の山としてはこのアプローチは正解じゃないかな。下は明日登る予定の唐松岳。今日不帰キレットを越える気力はないのでさっさと幕営の申し込みをした。500円なり。水は沸かして飲む分は1リットル150円。生で飲む分は500ml300円のミネラルウォータを外の自販機で買ってくれとのこと。ありゃ、山小屋で自販機とはこれまたびっくりだ。重たかったけど、下から2リットル歩荷してよかったぜぃ。 初日の夕食メニュー。いちおう「和」にこだわるなんていうたけど、実態はこの程度(爆)。新聞紙にねぎを包んでごはんのいわし蒲焼に根深汁でござる。ねぎは脇役だけじゃなくて主役にもなれる一品なのだ。でしょ、秋山師匠? 山荘から見上げるお月様。こんな夕方まで真っ青でいいのかな。夕日の染まる赤の建物もまた美しい。 夕日を浴びる我がテント 沈む夕日をなにも言わずに見つめる山人たち 何を想うか・・・ いつもそこにあるのに気づかないものを感じているのか、 それとも いつもいつもずっと一緒にいるのに気づかない自分自身を山を通じて映しているのか・・・ 21日の日は沈む。沈んだとたんに五竜方面からガスが沸き立ってきた。ウー、寒い寒い。テントに転がり込む。 夜は空が落ちてくると想うような満点の星空。唐松岳の上部に北斗七星が輝いていた。明日も快晴っ!夜の内に山荘でもらった1リットルの水を煮沸し、行動用の500mlのペットボトルに移し、残りは朝メシ用に確保しておいた。準備ぬかりなし。お休み〜。 9月22日 いつもは夜中に一度は目覚めるのに今回は目覚めたら4時半。あちゃー!こりゃ寝坊だ。もう空はすこし明るい。今日の朝メシは宮きしめん。よりによって12分も茹でるのにかかっちまう。(笑)6張あったテントのうち、2組は早々と撤収してヘッドランプの明かりをたよりも動き出していた。6時05分にテントを撤収し、行動開始。隣で幕営していた夫婦は今日は五竜までの2時間の楽勝コースだとか。その五竜は朝はご覧のとおり、山頂はガスに包まれていた。そのうち晴れるだろう。 山頂からは五竜と剱岳が雲から姿をあらわしていた。お、応援してくれてるの?と勝手に解釈(笑)さあ、今日はここからが勝負っ! 不帰のV峰、U峰の南峰までは余裕。なんだ、楽勝じゃんと思ったらここU峰の北峰からが核心(笑)岩をへつりながら下る。足を踏み外したらザックの重みに引っ張られてたぶん頭から落ちそうだ。うひゃ。慎重に歩くが幸いにもやばそうなところで対向者には会わない。先行の2名以外に私の後ろからは誰もやってこない。あとで気づいたのだが、この唐松から白馬を目指すコースは不帰の難所を下らなければならないし、天狗の大くだりという300Mの下りも全部登らないといけないという結構なマゾコースのようでして(笑)よく読んでなかったわ・・・。 T峰とU峰の鞍部から見上げる岩稜。ちょいと危ないなあというところには鎖がついてる。ちなみに一箇所鉄製の橋がかかっているところがある。(ここはちょいと恐怖)鞍部まで降りてきて改めて見上げてみて感じるのは登れといわれてもちょっといやだけど、降りるよりは上りのほうがいいかも?というかんじ。8時40分に不帰キレット到着。ここまで来ると今度は300メートルののぼりが待ってる。上の写真の右の尾根を延々と登るわけでございます。(汗) ま、一歩ずつ歩くしかねーなあと言い聞かせてマイペースで登る。昨日八方から見たイメージと今日唐松から見たイメージ、さらに目標を小分けにして、着実にクリアしていく。予想以上にいいペースで気づけば稜線に。おもわず、ガッツポーズ。やったぜぃ。天狗の頭でしばらく気が抜けてしまい、ぼーっとガスに包まれていく山を見つめていた。。今日はできれば白馬のテントサイトまで行こうとおもったがやーめた。(^^)11時05分に天狗山荘に到着。テントサイト代500円。 さて、山をみながらまたまたブランデー紅茶を楽しむ。そしてまた山をみながら風に吹かれてごろ寝。あー、なんて贅沢で怠惰で放埓な日々よ。気持ちはすっかり鑓温泉へ傾いている。明日は白馬鑓だけピストンして下ってしまおうかなあと。現時点でその気分が80%くらい(笑) ちなみに今日のメニューも「和」にこだわったはずだが、よく考えたらカルビ料理って韓国じゃないの・・・(?) しまったっ!ま、いいや。(いま気づいた俺もどうかとおもうな、こりゃ・・・) 今日は体のあちこちが痛む。いわゆる筋肉痛ってやつかな。20時ごろ就寝。単独行者が多いようでテントは10張。夜も静かだ。なにやら寝たような寝ていないようなかんじで、浅い眠りの繰り返し。夜に小雨が降った。外は真っ白のガス。明日雨がひどいようだったら、下山しようと決めて再びシュラフにもぐりこんだ。 9月23日 夜、体の痛さで目が覚める。ベンチレータから外を見ると満天の星空。おおっ?こりゃいけるか?4時10分に起床。カレーウドンを半分食べる。やっぱり朝はこの量で十分だ。はやく行動したくてねぎ入れるの忘れた。5時25分発。ふたたび、ガスに包まれる。視界は10メートルほど。うむむ、まずは鑓の分岐で決めようと思い、稜線を歩いた。 ゆっくりゆっくり登って山頂に立つと再び、ガスに包まれてしまった。なんでぃ(プンプン)。ここからは杓子沢の下り。ホワイトアウトで視界が悪いので本当にこの道であっているのかときおり立ち止まりながら歩く。先行者は鑓でのんびりしている様子。また一人になってしまった。やれやれ、俺こんなにさみしがりだったかな。ウレタンマットをつけて大きいザックを背負っていると、対面から来る登山者で同じテント泊をしている人はかならず挨拶と同時にどこのテントサイトから来たか聞いてくる。これから向かう先の情報収集とお互いの健闘をたたえるわけだ。白馬のテントサイトから来た人曰く「昨日はテント村状態で、途中で売る水がなくなったらしい」とのこと。ああ、無理していかなくてよかった。 白馬山頂の方位盤の後ろ側から撮影。左側は断崖。山頂は登山者であふれていた。さすがにココまでくると若い女性登山者がいる。さすが白馬っ! ガスは綿菓子のようになって山と山の間を移動していく。さあ、あとは三国境まで下り、小蓮華を上り返して小ピークを越えれば今日の目的地の白馬大池だ。最初は蓮華温泉まで降りようかと思ったがせっかく山の上に来ているし、時刻表を見ても明日の朝早くに降りれば10時のバスまでかなりの時間を温泉三昧できると計算したのである。9時55分三国境到着。10時40分に小蓮華山到着。ここで白馬大池から白馬岳をピストンしてきた老夫婦と言葉を交わす。なんとテントで来たとのこと。やはりできるかぎりはテント山行を続けよう。 小蓮華山を振り返り、あとは白馬大池をひたすら目指す。ちなみに今日のテーマソングはZARDの「負けないで」、チューリップの「心の旅」、森山直太郎の「さくら」、そしてなぜか特命係長只野仁のテーマソング。うむ、全体的に曲が古いな。。。 大池が見えてくると気持ちがゆるんでくるのか、肩が痛くなってくる。途中で座ってまったりと雲の動きを眺めながら歩いた。うん、よくがんばってるよ、俺(笑) ゆっくりしすぎて体も冷えてしまった。12時半に白馬大池到着。腹も減ったし、明日は蓮華温泉に降りるだけだし、いいやと予備食の宮きしめんと半分残っていたカレーうどんを混ぜて食べる。はあ、うまい〜。さて、今日の晩飯の用意だけして、また一眠りするかーと思って食料袋を見たら明日の朝ごはんがない。あれっ???あ、しまった、予備食だと思っていたのは明日の朝分だったのだ(笑)てなわけで、夜におかずとして食べようと思っていた焼きそばを半分残すことに。 さて、またブランデー紅茶で一眠りっと。天気はガスがかかったり、晴れたりの繰り返し。テントは10張りくらい。 今日も「和」と称して(だんだん恥ずかしくなってきたが)試してみるのはホタテごはん。100円ショップのつまみのちんこいホタテちゃんと本だしの素を水とアルファ米に入れて、水を十分に吸ったころに火をつけて沸騰させ、水を飛ばしたあと、蒸らしたら出来上がり。さてどんな味かなあーと一口たべて こ、これはうまいっ・・・ さすがに3日目の味噌汁は半分明日に回して自画自賛ほたてごはんをかきこんだ。 山に入る前に事前にテストとかはしない。すべてぶっつけ本番(笑)あたりもあるし、はずれもある。はずれたときは痛いけど。今回は味噌汁に具を沢山入れたおかげでお通じのほうはばっちり。寒い中でもおかげでトイレにいかなきゃならんのはどうだか・・・。 さーて、満腹になったあとはまたまたごろ寝。夜は大池のほうから風が強く吹き、ときおり小雨がぱらついた。夜目が覚めて空を見ると星が。どうやらもちそうだ。夕暮れは上の写真のとおり雲が厚かったが。まあ、明日雨だったら蓮華温泉の内湯に入って帰ろうと思いながら、阪神戦をラジオで聞く。かあ、3番野口は三振ばかり。数日前まで首位だったのに。しばらくろうそくをつけてラジオを聴いていたが、こりゃ駄目あきらめてシュラフにもぐる。 9月24日 もう完全に山に体が慣れてきた。3時に目が覚める。おなかの調子もいいので、でるものもでる(失礼)そのままシュラフの中で体をほぐして4時に起床。前日残しておいた焼きそばと味噌汁を作り、5時25分に出発。 さて、先に着替えを済ませた先行組が降りるために下に「おーい、下りるぞー」と呼びかけてるが、全然反応がない。しょーがねーなと下を見ると風呂の淵に座りこんで話込んでいるらしい。「あ〜あ、豪気だなあ、おしり丸出しじゃねーか」と先行組の男性がつぶやくので思わず「!!!」とばかりわたくしも立ち上がってちらりと見てしまいました。はい、おしり丸出し。(笑) 薬師の湯はややぬるめの小さい風呂。仙気の湯がすこし熱めのでかい風呂。ここまで来たらはしごでしょ(笑)腰にてぬぐいを巻いて着替えと登山靴を両手に持って下へ降りだしら、もういないと思っていた先ほどの女性陣が着替えて湯のそばにまだいるじゃないか。げっ!しかも笑いながらこっちを見てる。「あ〜見ないでくださいぃ〜」と叫ぶものの、おばちゃんから「見えてるよー」とでかい声で言われ・・・(恥)やられた。 湯につかってまったりしていると、昨日蓮華温泉に宿泊していたお客さん達がぽちぽち上ってくる。カメラ大好きのアメリカ人男性と一緒に来た女性は足湯のみ、中年のおっちゃんとバーのママ風おねえさまのカップルはおっちゃんがおねえさまのためにビールを冷やしたり写真を撮影したりととまるで奴隷のようにあくせくあくせく。(笑)おもろいカップルだなあと思って着替えながら見てるとおいらの目の前で豹柄水着を来たおねえさまがいきなり水着をぬぎぬぎ。「なぬー?なぜ脱ぐの?」と思わず女性の背中に釘付けになっちまいました。は〜あ、こりゃ神様のプレゼントか???ご馳走様。 単に温泉に入りすぎてのぼせたのか、そうではないのか、よくわからないまま、(笑)バス亭へ移動。予定どおり糸魚川バスは到着するものの、蓮華温泉と平岩を結ぶ道は細い道。平岩から蓮華温泉を目指す一般車と鉢合わせしてしまい、そのたびに運転手がバスから降りて下手くそなドライバ達の後退を指導。観光バスでもないのにその動きっぷりにみんなで拍手喝采。(^^)なんとか11時10分の電車に合った。しかし、ほんまにこの駅はメシ屋も何にもないなあ。 電車のなかで大阪までの切符を買う。松本まではひさしぶりに電車に揺られての2時間の旅。寝るのはもったいなくてずっと車窓から外の景色を眺めていた。アルプスは今日は濃い雲の中に覆われている。上のほうは真っ白だろうな。松本駅に8年ぶりに降りてみたが、すっかり綺麗な駅になっていてびっくり・・・。 14時43分発の特急しなの号が大阪まで直通であるようなので、みどりの窓口に並ぶが凄い人。しかも指定はもうない。自由でいいかと乗ってみるが、座れず。あほらしいので塩尻で下車して、次の名古屋行きの信濃号の自由席に乗ることが出来た。 ちなみにおみやげは蟻五郎の七味と野沢菜。 できれば松本か、白馬あたりでおいしい店に寄りたいなあと思っていたが、下山したらとにかく1分でも早く家に帰りたくなってしまい、ちょいと余裕が無かった。もうすこし松本の情報も仕入れおくべきだった。今回は本当にひさしぶりの復活の山だったけど、こんなにラッキーでいいかしらんと思えるほどの恵まれた山旅だった。すべてのもの、出会いに感謝でございます。(^^) |