水の使い方 
山を始めたときに意外と気になるのが持参する水の量。さてどれくらい持っていけばよいのだろう?
自分の飲む分だけ確保すればいい?テント場について水が枯れていたらどーする?あなたなーらどーするぅ〜♪

1.水の考え方

日帰り登山の場合

日帰り登山の場合は、きちんと事前に計画して準備される方もいれば、私のように朝起きたら天気が良かったらでかけるという人もいるでしょう。どたばた準備して水を忘れても、最悪の場合どこかのコンビニに行けば調達は可能です。私はザックや山道具を入れている倉庫の扉に装備表を貼り付けています。それをみながらチェックをします。しかし一度トイレットペーパーを忘れて焦ったことがあります(笑)

日帰り登山の場合、場所にもよりますが、初めてのコースでしかも里に下りるのに時間がかかるようなところにいかれる場合は、行動中に飲むお茶(もしくはポカリスウェット系の飲料)と、自宅から水を小さいボトルに入れて持参することをお勧めしたいと思います。つまり行動用1本と予備用1本です。登山口で沢があれば自宅から入れてきた水を捨てて沢の水を入れればOKです。なぜ予備用の水を持つかというと、これは飲むのではなく非常用です。例えば怪我をしたときの消毒用の水に、また同行者が日射病などの倒れた時のための水です。もし何もなければ歩荷(ぼっか)のトレーニングになったと思いましょう(笑)下山後に「おみやげの山の水だー!」ということも出来ます。

ここでは水には以下の使い方があることを覚えておけばよいかと思います。

@行動用
A料理用
B非常用

テント泊の縦走の場合

行動時間が長くなればなるほど、行動中に摂取する水の量は増加します。私は1リットル入るペットボトルか、2リットル入るポリタンを使います。幕営は基本的には指定されたサイトで行いますが、なんらかの問題で到達できなかった場合のことを考えると料理用の水は欠かせません。幕営地点では最低晩メシと朝メシが食えるくらいの水は確保しておきましょう。その場合はラーメンなどの料理になるが仕方ありません。臨機応変にその場面に応じて食料計画の中から使いまわして利用をしましょう。主食が仮にカロリーメイトになったとしても脱水症状にならないようにしっかりお茶を飲んでおきましょう。特に疲れているときは面倒でも温かい飲み物をつくりましょう。冷たいものは体に負担がかかってしまいます。なお、縦走登山の際はメモ帳に食料計画表を作成して貼り付けておきましょう。これがあれば、人目で持参した食料が分かり、柔軟にメニューの変更も可能です。

2.水の持参方法
縦走の場合は登山ショップで売られているポリタンクの2リットル版が便利ですのでお勧めしています。メモリが横についているので、ペットボトルと比べて一日の行程でどれくらい減ったか分かりやすいのが特徴です。ただしポリタンク独特の臭みがどうして水につきます。購入時にお湯につけるとある程度匂いは緩和されます。また沢に水を汲みに持ち運ぶにも、ポリタンクは便利です。取っ手に紐をつけて肩にかけると水取りも楽になります。行動時の飲料は水で十分だ!という方はこのポリタンク1つですべてまかなえます。

私は重宝してますが、最近はあまり見かけなくなってきました。かわりに最近良く見るのがプラティパスです。折りたたんでかさばらないのもメリットのひとつでしょう。
3.じゃあ、ずっと行動中も水だけ飲むの?
縦走用では2リットルタイプのポリタンク1個で十分と先ほど記載しましたが、やはり行動中は水以外のものが飲みたいと思う方は多いと思います。その際はマグカップを1つ持参しましょう。まず、休息時にはポリタンクから水をマグカップに注ぎます。この際にどれくらい水を飲んでいるかがカップの分量で分かります。次にポカリスウェットの粉末タイプを入れてかき混ぜます。マグカップに注ぐことでガブ飲みによるバテも防げます。私はポカリスウェットとシーマックスを愛用しています。(シーマックス は固形です)これらはザックの天蓋などの取り出しやすいところに入れておきましょう。
じゃあ、最初から、ポリタンにポカリスウェットを溶かして入れておけばいいじゃないかという意見もありますが、テントサイトについて水場が涸れていたり、不測の事態を想定すると、自分の摂取する水の量を管理するということを併せて水は単体で持っていたほうがよいと考えます。テント場についてポカリ味のラーメンや紅茶を飲むことを考えてみてください。(意外とうまかったらどうしよう?)テント場は特に秋は水が少なくなるので涸れることが多くあります。

4.雪渓の氷の利用法

夏のアルプスでは青い空、黒い岩、そしてところどころに残る白い雪渓のこの3つのコントラストの作り出す風景の美しさを楽しむことが出来ます。特に雪渓は冷たい風を運ぶ最高のクーラーにもなります。幕営地の近くに残る雪渓はぜひ利用したいですね。食器の蓋で穴を掘れば立派な冷蔵庫に早かわり!お茶を突っ込んでおけばひんやり。またすこし深く掘る必要があるが、雪渓のカキ氷はかなり生き返る一品。こんなときにお勧めなのがグリーンティの粉末スティックと練乳。これで抹茶ミルクが出来ます。この即席カキ氷はかなりのPOINTUPです。単純にポッカのレモン汁を降りかけてもおいしい。ぜひおためしあれ。

5.ところで冬場は水はどーするの?

冬場は雪を溶かして水を作ります。これを我々は「水作り」と呼んでました。水を作るなんてなんだか変だと思いませんか?冬のテントで一番いやな作業はコレなんです。なんといってもテントの中が濡れる!しかも乾燥粉雪だと、雪をコッヘルに詰めても詰めても全然水が出来ない。つまり作業量が増えるのです。面倒くさくなって大きな木の下から雪を取って溶かすと木屑や葉っぱが大量に入ったお水が出来上がります。そんな時はスプーンですくってそとにだしましょう。どこかの山岳部で水作りをしたら、う○コが入っていたという笑えない話もあります。雪を集める場所はきちんと選んでしましょう。間違ってもトイレと決めたところから取ってくると黄色い塊や紙や茶色い物体がもれなくついてくることになります。春山では、黒いビニール袋に雪を詰めてテントの横に置いておこう。太陽の光で若干雪が溶けてくれるので、燃料の節約になります。冬山の場合は、晩のうちに翌日の分の朝飯と行動用の飲料の水を作ります。冬の行動用の飲料は750ミリリットルのテルモス 1本。え!少ないんじゃないの?と思いますがこれで十分です。テルモスの中身は紅茶に砂糖をすこし大目に溶かしたものを入れておきます。冬山での小休止の際に熱い飲み物を飲むとかなり回復します。ん?雪は口の中に入れれば溶けるから雪食えばいいんじゃないの?と思うかもしませんが、体温より低いものを摂取するばあい体には大変な負担がかかります。下手をすると低体温症にもなります。ここまで書くと冬山では燃料が命というのがおわかりいただけるでしょう。食料計画をきちんと立てることは燃料の節約にもつながります。メニューによってガスカートリッジがどれくらい減るかをきちんと考えておきましょう。


水作りは以下のような手順で行います。

まず、大コッヘルを用意し、そこに取ってきた雪を詰めます。その際は食器でしっかり圧力をかけてギュウギュウに詰めるようにしてください。詰めたら火器に点火します。一人がコッヘルをしっかり押さえてもう一人がスプーンで雪をかきまぜます。この際はスプーンを縦に立てるようにして雪を崩し、さらにスプーンの腹で雪を押さえて溶かしていきます。ある程度水が出来たら一定の方向に水を回していきます。雪が解けたら同様の方法で雪を詰めていきます。最初に明日の行動用の飲料分をテルモスに入れます。次に明日の朝食用と明日の朝飲むお茶分を作ります。最後に本日就寝前に飲む分の水を作って出来上がりです。

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